滋賀県高島市の饗庭山法泉寺住職の吉武学です。
人生のお悩みや終活のご相談をはじめ遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
YouTubeで大阪府知事選の候補者にそれぞれインタビューしている動画を見ました。
多くの候補者がカジノ誘致などのIR(Integrated Resort(統合型リゾート))について、問題と指摘していました。
実際にカジノが上手くいくのか、税収が入るのかなどの問題はさておき、私自身が気になるのは「ギャンブル依存症」の問題です。
前職で人権を担当していた時に、ギャンブル依存症の学習会があったので参加しました。
医者や弁護士などの先生のお話と、ギャンブル依存症を克服しようとしている方のお話を聞きましたが、耳に残ったのは二つのことです。
一つ目は「ギャンブル依存症の人は真面目だということ」
これを言われた時には何を言っているのか全く理解できませんでした。
ただ、ギャンブル依存になっていく順序を話されて納得しました。
ストレスが溜まるなどの抑圧環境にある人がギャンブルをする
↓
ビギナーズラックなどを体験し、強い達成感を味わう
↓
繰り返しギャンブルをするようになる
↓
次第に負けが込んで借金をするようになる
↓
借金はいけないことだと考え、借金を返済しようとギャンブルにまた手を出す
↓
以下、ループが続く
この「借金はいけないことだと考える」のが真面目だ、というのです。
不真面目な人なら「お金がないから返せないのは仕方がない」と諦めてしまい依存症にはならない、といわれ、目から鱗が落ちました。
二つ目は「借金は必ずどうにかできるので、本人と家族の意思が大切」ということ
これは弁護士の先生のお話の中に出てきたのですが、借金を何とかしようとすれば自己破産、任意整理など法律を利用した手立ては必ずあるとのこと。
だから借金がいくらあっても、そこは心配しなくても良い。
しかし、単に借金を解決するだけでは再びギャンブルに手を出して新たな借金が生まれるだけと言われました。
依存症の人が家族に隠していた借金がバレて、家族が全て返済すると、本人の心の中では借金の心の重しが取れて「これでまたギャンブルできる」「また借金ができる」と思ってしまう、というのです。
だからギャンブル依存症と借金に苦しむ人が「ギャンブル依存症を抜け出したい」と強く思うところがスタートであり、家族や周りの人は「助けよう」と共依存になるのでなく、自分で何とかするように自立させるのだと学びました。
IRやカジノが導入されれば、少なからぬ人がギャンブル依存症になることは避けられないでしょう。
税収が増えるとか、インバウンドも含めて多くの人がやってくる、という経済のために依存症という人権問題が必ず発生することが容認できるのか、が問われている気がします。