フルオーダーメイドな葬儀

滋賀県高島市饗庭山法泉寺住職の吉武学です。
人生のお悩み終活のご相談をはじめ遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。

親戚寺院の葬儀を終えました。
通夜を行う一昨日は、午前が冬を思わせる寒さと強風で心配しましたが、午後から天候が回復し、葬儀の昨日は春の陽気の中、棺を送ることが出来ました。

集落内で唯一のお寺ということもあり、準備に寺院役員の方だけでなく多くの方が駆けつけられ、弔問客も通夜葬儀両日とも満堂の入りでした。

最近は葬祭ホールでの葬儀ばかりで、自宅葬もほとんどなくなりました。
ホールは葬儀に特化した会場ですし、設備や人員も整っています。
一般的な法要の流れと必要な準備や経費もすぐに提示され、アレンジしたい部分はある程度対応してもらえるので、セミオーダーメイドな葬儀ができます。

今回は本堂での葬儀ということで、ほぼ、フルオーダーメイドな内容になりました。

まず会場の縮尺がそれぞれ違うので、設備を準備するにしても細かな調整が必要になります。
受付のテント一つにしても、境内の大きさや形が違うため、よくある二間三間のサイズでは設営すら出来ず、今回は小型のテントを使ったりもしました。

屋外や外陣は葬儀社さんや檀家さんに準備をお願いできますが、内陣は僧侶が担当しないといけません。

担当と人員を分けますが、私のように他の寺院からのヘルプ要員では、仏具がどこに仕舞われているか分からないため、なかなか準備が進みません。

また、法要の細かな内容が宗派により変わるのはもちろんですが、集落によっても、極端には各お寺によっても異なるため、詳細な打ち合わせが必要になります。
その他、寺院関係者の葬儀ならではの、本山からの弔慰状の伝達式などもありました。

これだけ書くと、正直なところ私自身も葬祭ホールの葬儀だけに統一したいと思ってしまいます。

しかし、地域で大事に護られてきたお寺で、歩いていける集落内にあるからこそ、最後の霊柩車の出棺のところまで多くの人が見送られたのだと思います。
合理性だけを考えるなら葬祭ホールですが、それで割り切れないものが色々あると感じた葬儀でした。