滋賀県高島市の饗庭山法泉寺住職の吉武学です。
人生のお悩みや終活のご相談をはじめ遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
相続を学んでいる笑顔相続道の企画で大阪地裁に裁判傍聴に行ってきました。
ちなみにタイトルで出頭とありますが、ネットで調べると裁判所等に自ら出向くこと、とのことで何も犯罪は犯してません。
弁護士の先生が段取りをしてくださり、傍聴にあたっての注意や裁判の合間合間での解説などもいただきました。
最初に傍聴したのは土地家屋調査士が各種士業の業法違反を犯した事件に対する判決。
後からネット検索すると、報道もされていました。
実刑で4年の懲役。
どうやら以前にも書類偽造を行って土地家屋調査士の登録を取り消されたにも関わらず、取消期間中に資格がないと出来ない書類を作成したり、不動産鑑定士や司法書士しか作れない書類も作っていたようです。
その他にコロナの給付金や各種補助金の申請にあたり、会社の業績の書類なども偽造して受給していました。
繰り返しやっていて悪質だな、と思う一方で、もし自分自身の事務所の経営が上手く回らない時に、この犯罪を絶対に犯さないか、と考えると、改めて倫理観を強く持たないといけないと感じた事件でした。
そう思うと、各士業の所属する会が机上の研修だけでなく、こういう業法違反の裁判の傍聴を研修に取り入れると、受講者へのインパクトも違うのでは、と感じました。
次は160円のおにぎりを万引きした高齢者の窃盗事件。
金額は小さいですが、繰り返しやっていて、それに対する罰金刑も何度も受け、しかも未払いとのこと。
検察官の視線が怖かったのと、国選でついているであろう弁護士がおそらく新人で、緊張度MAXの陳述を行っていたのが印象的でした。
裁判官が途中で10分の休廷で判決文を準備して懲役1年、執行猶予3年の即日判決を言い渡されていました。今回アテンドいただいた弁護士の先生によると、即日はとても珍しい、とのこと。
また、裁判官の方が被告に寄り添うスタイルの方で、法律用語をかみ砕いては言い含めるように説明されていました。
次は、尋問を行っているところを傍聴。
被告が中国人で、通訳を介しながらのやり取りでした。
弁護人が、質問と資料を使いながら、事件に至った点について、やむを得ない点があるというストーリーを描いているんだろうな、という感じでした。
これもアテンドいただいた弁護士の先生によると、通訳が入っているところは珍しいとのこと。
最後は、フィギュアの窃盗犯の冒頭手続を傍聴しました。
事前に聞いていましたが、手錠と腰縄を付けられて法廷に入ってくる姿はやっぱりドキッとします。
23歳無職で、中古品買取店で万引きしたものを別の店に持ち込み、そのお店で手続きしている間にまた万引きして、別の店へ、という内容でした。
万引きした店に再度行って通報されて捕まったようですが、また行ってもバレないと思っている感覚などがうーん、と思ってしまいます。
仕事がない、お金が無いという状況も大変でしょうが、手錠を付けられ裁判にかけられる、というのはどんな気持ちになるのでしょうか。
個人的には大学の時に習った授業で、冒頭手続の最初にある人定質問が大事な手続である、と言われたことを思いだして「これかぁ」と感動していました。
今回は、士業に関する裁判を傍聴したということと、判決を受けた二件の被告の人生が変わる瞬間に立ち会ったということに、強い刺激を受けました。
また、体験したということは、やはり知識として知っているだけのことより、はるかにリアリティを持って説明できますし、考えさせられることも多いな、と思いました。
笑顔相続道では定期的に企画されているので、次も参加してみたいと思います。