滋賀県高島市の饗庭山法泉寺住職の吉武学です。
人生のお悩みや終活のご相談をはじめ遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
私がお坊さんだと自己紹介すると、みんなから質問される定番ネタがいくつかあります。
そのうちの一つが「法話のネタ帳って売ってるの?」です。
試しにAmazonで「法話」と入れて検索をかけると、いくつかそれらしい名前の本が出てきます。
私もそれっぽい本は買ったことがあります。
ただ丸暗記すればいい法話が出来るかと言えば、そんなにうまい話はありません。
ネタ帳的な本はサラリーマンの方が買う「朝礼のネタ」のようなものかと思います。
同じ朝礼のネタの本を使っても、みんなが内容に耳を傾ける話をされる人もいれば、早く終わらないかな、と感じさせてしまう人もいます。
違いが何かと考えると、みんなが聞きたいと思う話は、自分に関係がありそうだ、と思う話です。
ネタ帳は誰にでも使えるように内容がやや一般化されています。
そうすると聞き手としては、話は納得するけど自分には関係ない、と感じてしまいます。
上手い話し手は、自分の体験や聞き手の地域の話題を盛り込んでいきます。
政治家で街頭演説が上手な人は、必ず最初に地域の名産の話をして、美味しかった、という内容をそのままではなく、巧みな表現で伝えるそうです。
つまるところ、人は他人の話なんか聞きたくないわけで、そこを聞いてもらうためにはネタ帳ぐらいではどうにもならないのです。
だからこそ、上手い話し手は、いかにみんなの耳が向くようにするか、心に引っかかりを感じるような話題は何か、といったことを試行錯誤しているのです。
ネタ帳が売っているか、と言われれば売っていますが、話が上手くなる虎の巻ではないというところでしょう。