滋賀県高島市の饗庭山法泉寺住職の吉武学です。
人生のお悩みや終活のご相談をはじめ遺言・相続・葬儀・埋葬・終活のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
東大出身の弁護士で、現在は信州大学特任教授の山口真由さんという方がいます。
東大在学中から成績優秀で総長賞を受賞して卒業し、財務省に入省。
その後、弁護士に転職し、ハーバード・ロースクールに留学して、ニューヨーク州弁護士登録。
帰国後は東大大学院を経て、現在は信州大学の特任教授という華々しい経歴の方です。
先日、ChatGPTをはじめとする生成AIによって士業が受ける影響を討論するYouTube番組で、「自分が最も淘汰されるタイプの人間である」と語られていて驚きました。
山口さんは、文章を読んだり記憶したりする情報処理能力に長けているそうです。
まさに大学卒業までに求められる能力であるわけです。
そして弁護士になると、情報処理能力の高さを活かして、関係者の何万通ものメールに直接目を通して裁判に必要なメールをピックアップしました。
しかし、資料を上司に渡すと「コンピューターが発達すれば最初に取って代わられる仕事だよ」と言われてしまったそうです。
別のインタビュー記事で山口さんは財務省では自分がポンコツであったと自虐的に語られていました。
資料を読んで理解する能力よりも、周りとの連携の段取りを組む、いわゆるロジスティクスが全然できず、マルチタスクが苦手なことを痛感したそうです。
YouTubeの討論番組では、生成AIによって淘汰される士業の分野はあるものの、それを活かすことができる士業が現れると語られました。
「さおだけ屋はなぜ潰れないか?」で有名な公認会計士・税理士の山田真哉さんは、そろばん、電卓、パソコンソフト、クラウドソフトと新しいものが出てくるたびに、もう終わりだ、と言われたそうです。
しかし、そう言われ続けた結果、税理士や会計士を希望する人が少なくなり、需要に対する供給不足となっているそうです。
そのため、新しく登場したものを活かして、今までよりも活躍できるようになっているとのこと。
また、経験豊かな弁護士の思考方法をChatGPTに取り入れることで、若手が相談するように入力すると「方向性は合っているが、この論点の検討が不足している」などの答えが出せるのでは、という意見が出ていました。
これは、資料収集や最初の分析を生成AIが代替してしまうことによって、若手のいわゆる下積みから得られる経験や思考方法が見につかないことへの対策にもなるのでは、とも思われます。
弁護士や裁判官分野で言えば、刑事裁判などで結論がはっきりしているものは生成AIによって、素早く処理されていくようになるとのこと。
現在は一件一件の裁判の判決文を書く余裕がないため和解を勧められることが多いそうですが、それもAIが判決文を作成することで変わってくるのでは、と語られていました。
一方で、民事裁判で人によって結論が分かれそうなものをAIが処理するまでにはもう少し時間がかかりそうとのことです。
また、どの士業であっても、AIが出した結論に自分の名前で責任を付与できるかどうか、また法律がそこに追いつくかどうかの話は異なります。
生成AIが士業分野も含めて今まさに広がっていくこのタイミング。
日本が世界と肩を並べることができる数少ないときに、国を挙げて前のめりに取り組んでほしいなと思います。