滋賀県高島市の饗庭山法泉寺住職の吉武学です。
人生のお悩みや終活のご相談をはじめ遺言・相続・葬儀・埋葬・終活のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
昨夜、親類から電話がかかってきました。
市役所の税務課から「相続人代表者指定届の提出について」という書類が来たが何のことだ?というものです。
ここ最近で亡くなった親族がいないか聞くと、先月、兄が亡くなったとのこと。
子どもは何人もいるそうですが、にもかかわらず市役所から通知が届いたということは、全員、家庭裁判所に相続放棄の申述をしたということでしょう。
親類には相続順位の説明をして、相続放棄の手続方法を説明しました。
子どもが全員相続放棄しているということは、おそらく財産よりも多くの負債が残っていると予想されます。
親類はたとえ財産があってもほしい訳ではないそうなので、相続放棄の手続を進めるとのことでした。
手続にあたって手間がかかるのが戸籍の収集です。
今回は被相続人の兄弟姉妹の相続です。
まず、被相続人である兄の出生から死亡までの戸籍が必要になります。
お兄さんは仕事の関係であちこちに住所を移されていたそうなので、ひょっとすると本籍も何度も移動しているかもしれません。
そして、相続放棄されたお兄さんの子どもの戸籍が必要になります。
さらに、お兄さんのご両親が亡くなっているという戸籍(除籍)も必要になります。
そして、手続きする本人の戸籍も必要になります。
戸籍は親や子といった直系であればスムーズに取れますが、兄弟などの傍系は簡単には取得できません。
役所の窓口で説明して、証拠となる書類を提示しながら依頼していくことになるでしょう。
自分で出来る手続ではあるのですが、なかなか手間がかかります。
また、亡くなった兄以外の他のきょうだいもいるので、今回の相続放棄は連携して行うことになるでしょう。
全員で申請すれば、戸籍などの必要書類を共通して使うことが出来ます。
手間の部分を専門家に頼むことで解決することも出来ます。
相続放棄の手続を受任できる士業は弁護士と司法書士となります。
費用はかかりますが、知識と労力と時間をお金で解決できると考えることも出来ます。
セミナーなどの参加者で「相続放棄をした」とおっしゃられる方が時々いますが、よくよく聞いてみると、単に遺産分割協議で一円ももらわなかったことを相続放棄と言っているものがほとんどです。
法律的にはこれは相続放棄でなく「相続分の放棄」といいます。
この言い方だと紛らわしいので「ゼロ円を相続した」と理解してもらっています。
なので、後から借金が見つかった場合は、ゼロ円であっても相続を経ているので借金の返済義務が残ってしまいます。
今回は市役所からの通知が来てすぐに私に問い合わせてくれたので、3か月の時間があります。
相続関係ではこのようにリミットがあるものがありますので、不明なことがあれば専門家にまずはお問い合わせください。