滋賀県高島市の饗庭山法泉寺住職の吉武学です。
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少し前までラグビーワールドカップが盛り上がっていました。
兄が明治大学出身のため、小さい頃から知識だけは少しあって、北島忠治監督の「前へ」とかを無駄に知っていました。
ラグビーはよりスピーディーでエキサイティングな試合となるようにルール改正が頻繁に行われています。
最も分かりやすいのはトライの得点で、私が小学生くらいの頃は4点でしたが、今は5点になっています。
少し調べると、戦後しばらくは3点の時期もあったようです。
また、ペナルティキックを外に蹴り出した時のラインアウトのボールを投げ入れる側が昔とは逆になりました。
そのラインアウトも以前は人を高く持ち上げるリフトが禁止されていましたが、今は認められてサインプレーからの美しい流れが見られるようになりました。
こうした改正以前は、スクラムを組んでもグチャッとすぐに潰れるし、少し動いては止まり、少し動いては止まる、といった試合をよく見て、退屈に感じることもありました。
現在は、スクラムなどからも素早くボールが展開されて、選手の華麗な走りに歓声が上がる様子が見られます。
伝統的なスポーツではありますが、観客も含めてどうすればみんなが楽しめるスポーツになるか、ということのために変更することに躊躇がないと感じます。
私が中学の頃にやっていたバスケットボールも、「ボールを持った状態で3歩以上歩いてはいけない」というルールの解釈が2018年に変わり、ゼロステップと呼ばれる概念が導入されました。
昔の概念のままの私が見ると3歩以上歩いているように見えるものも、今のルールではO.K.になったりしています。
このため、今までにはない動きを選手が見せるようになり、新たなバスケットボールのテクニックが生まれています。
ラグビーのルール改正で大きいのは、プレーに関することだけでなく、代表選手の資格に関するルールです。
先日のワールドカップでも、現在の国籍こそ日本ですが、出身が日本国外である選手が多数、日本代表として参加しています。
ラグビーに代表は国の代表でなく協会の代表という面もありますが、ルーツや居住年数などにより国籍が違っても代表資格を得ることができます。
そして、単にどこでもいいから代表になりたいとか、単純な助っ人ではなく、その協会(国)に対する想いを持って、代表に入ってきます。
現在の日本代表は異なるルーツを尊重し、互いに学び合う中で成長しているということが記事に載っていました。
・毎日新聞 「競技発祥200年のラグビーW杯 「多様性」誇れ日本代表」 2023/11/10
現在の日本代表の中には、元々の出身国から代表の誘いを受け断ったり、新型コロナの際に日本での連続居住歴を意識してあえて帰国しなかった人もいるそうです。
ラグビーの日本代表の姿は、多様性を受け入れて、新たな日本を作り上げることを示しています。
しかし、日本社会においては、外国人との軋轢や差別がなくなったとは言えません。
特に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、外国人に対する偏見や排斥が強まったという声も聞かれます。
私たちは、ラグビーの日本代表から学ぶべきことがあります。
端的に言うなら、外国人との関係を敵対的なものではなく、協力的なものにすることです。
外国人は、日本に住んでいる以上、日本の一員です。
彼らは、日本の文化や法律を尊重し、日本の社会に貢献しようとしており、日本のために戦うチームメイトと言っていいでしょう。
もちろん一部のルールを守れないチームメイトは日本人であっても外国人であっても、チームのルールに従った処分が下されることはあります。
しかし、私たちは、外国人に対して、偏見や恐怖を持つのではなく、理解や尊重を持つべきです。
彼らに対して、排斥や差別をするのではなく、受け入れや支援をするべきです。
彼らに対して、違いを強調するのではなく、共通点を見つけ、一緒に、日本の未来を築くべきです。
それが、ラグビー日本代表が掲げた「Our Team」ということではないでしょうか。