滋賀県高島市の饗庭山法泉寺住職の吉武学です。
人生のお悩みや終活のご相談をはじめ遺言・相続・葬儀・埋葬・終活のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
国が子育て世代への新たなサポートとして、生命保険控除の拡大を検討しているそうですが、なぜ特定分野だけの控除が検討され、対象外となる世帯が出る施策となるのでしょう。
子育て世代への継続的な給付や、条件を付けない控除枠の拡大にしてもらえれば、全ての子育て世帯に対するサポートとなります。
「異次元の少子化対策」は本当に異次元過ぎて、この次元に住んでいる私たちには恩恵のない対策なのかもしれません。
少子化対策についても、国の施策が基本的に婚活支援ばかりに偏っていることに違和感があります。
結婚と出産は決して連続するものではないのですが、高齢の政治家にとってはまずは結婚しないと出産が出来ないと考えているのでしょう。
結婚は愛する人と法律の上でも繋がりを作るために行うもので、成人であれば年齢は関係ありません。
また、愛してはいるけれども法律上の繋がりまでは求めていない人達もいますし、出産可能年齢ではない結婚もあります。
出産して子どもを持つということは結婚とは関係の無い事ですし、子どもを持たないという選択肢もあります。
また、結婚していても不妊に悩み、治療のために多くの時間と体力とお金をかけている人もいます。
国のあらゆる施策は夫婦と子どもの世帯が有利になるように組まれていて、そうした世帯になるように誘導してました。
しかし、今や単独世帯が最多数派となっており、そうした誘導が聞いていないことがうかがえます。
それもそのはずで、国の男女共同参画や女性活躍といった施策に乗った場合、出産時期が遅くなったり、複数の子どもを持つことに躊躇する内容だからです。
こうした施策のモデルどおりに女性が4年制大学を卒業し、仕事の経験を積もうとすると、その仕事が中断される出産に対しては消極的になります。
また、社会全体が低所得化しているため、結婚したとしても夫婦どちらかだけの収入で世帯にとって十分な収入とはならず、共働きが前提となり、これまた出産による収入の減少がネックになります。
実際のところ、出産に対して消極的になる理由は経済的な面だけでなく、教育費負担が大きすぎることや、結婚は人生の墓場と言われるような社会の雰囲気であるとか、育児の負担が母親に偏り誰もサポートが無い状況など、様々な問題があります。
国として施策を打とうとするのは方向性としては間違っていないので、多少の中身の不満はあっても、もっとスピード感を持って実行してほしいと思います。
なぜなら、施策の結果として人口に影響を与えるのは早くて30年後だからです。
そもそも出生数を増やして、どんな国にしたいのか。
単に高齢者を支えるために若者を増やそうというのでは、生まれてきた子どもたちが日本に残ろうと思わないでしょう。
国としてどんな国家観、家族観を持って、この施策に臨むのか、そこが問われています。