がんの相談員に新たな視点を提供する

滋賀県高島市の饗庭山法泉寺住職の吉武学です。
人生のお悩みや終活のご相談をはじめ遺言・相続・葬儀・埋葬・終活のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。

県内の病院で、がん患者の方の相談や支援を担当されている看護師やソーシャルワーカーの方の研修会にFPとして講師をしてきました。
この企画をされた方が講師ができるFPを探されていて、ちょうどその方の職場に私の知り合いの看護師がいて、私の名前を挙げていただいたものです。
今日聞いたところによると「面白い話ができるよ」と言われていたらしく、事前にめちゃめちゃハードルが上がっていたことを知り、ちょっと汗をかきました。

事前にZoomで打ち合わせをして、どんな内容を聞きたいのかなどを詰めました。
一般の方への話なら、色々な公的支援のメニューの説明をして、病気になっても意外とお金の支援もあるものですよ、とお伝えするところです。
今回は、ソーシャルワーカーの方も参加されるので高額療養費制度や傷病手当金などもご存じだろうし、何を伝えるのが良いのか、何を聞きたいのかといったところを色々とお尋ねしました。

打ち合わせで聞いたがん患者さんからの相談で多いものは、本人の治療費の不安や、一家の収入の中心ががんになったことによって家族が生活していけるのか、といった不安だそうです。
また、ソーシャルワーカーは、ご本人の治療に関する制度や支援は知識もあり説明もできているけれども、残った住宅ローンの問題やこれからかかる子供の教育費をどうしようか、といった相談には、なかなか答えることができなかった、とお聞きしました。

今日の講義では冒頭で「がんを含め病気の際のお金の対策ができるのは病気になる前だけ。かかってしまったら事前の対策と公的支援で対応していくしかない」というお話をしました。
そうした中で事前の対策をする際のポイントなどをお話ししました。

住宅ローンについても団信の意義や、がんなどの特約があるタイプについてお伝えしました。
事前の打ち合わせで、団信をかけない人もいると聞き、よくそれでローンの審査が通ったな、と思っていました。
団信をかけていなくて収入が減少した場合などは銀行にリスケジュールをお願いすることになりますが、これも早め早めの相談を心掛けてほしいとお伝えしました。

世帯の収入が減少する中で教育費をどうするか、というお悩みに対しては、奨学金や国の教育ローン、高等教育の就学支援制度などについてお話ししました。
また、新聞奨学生についてもお伝えしました。
ネットを見ると新聞奨学生の闇みたいな記事がいくつも出て来ますが、たとえそうであっても、大学進学のための方法の一つとしてあるので、親ががんになったらもう進学できない、といきなりあきらめないでほしい、と伝えました。

私が行政書士でもあるということで相続についても少し触れ、遺言の力をお話ししました。

講義後のグループワークにも加わらせていただいて、質疑応答に応えたり、外から見たちょっと違う視点をお伝えしました。
直接感想をお話に来てくださった方が「面白かった」「講義の中で語られている相手は私自身だと感じた」「もっと早くこの話を聞いていれば、数か月前の相談に対応できた」と言っていただけたので、単なるイイ話でなく、刺さる話ができたと感じました。

今回は医療関係の方が内部連携、外部連携、多職種連携を考える研修会に読んでいただきましたが、私たち士業なども医療に携わる方との連携を望んでいることをお伝えしました。
私の公務員経験から、公的機関は特定の事業者とだけ連携することも難しいと思い、連携しやすくなるように相手にお願いするちょっとしたコツもお伝えしました。

今回の講義で医療関係の方に新たな視点をお伝え出来たと思います。
医療関係者の役に立ち、それが患者さんのためになり、私たち外部専門職の利益にもなり、社会全体が良くなっていけば三方良し、四方良しとなるので、そうした仕組みづくりを図っていきたいと思います。