滋賀県高島市の饗庭山法泉寺住職の吉武学です。
人生のお悩みや終活のご相談をはじめ遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
夏休みも最終盤。
把握できていなかった子ども達の新たな宿題が出てくる頃です。
男はいわゆる「夏の友」的なドリルを仕上げていましたが、今時は親が丸付けをします。
書き殴った字を見るほどに腹が立ってきたので、真っ赤に修正を入れてやり直させました。
常々「綺麗に書けとは言わないから丁寧に書け!」と言っているのですが、時として自分でも読めないような字を書いています。
リルの国語の中に短歌を考えろ、という問題があって、長男の手が止まってしまいました。
仕方がないので、問いかけながら一緒に作ることにしました。
まず歌は心が動いた時に詠むものだから、この夏休みの間でうれしかった、腹が立った、悲しかった、楽しかったことはないかと書き出させます。
その中で特に先生に伝えたい出来事を選びます。
長男の場合はキャンプでの飯ごう炊さんでした。
長男はまず「美味しいご飯が出来てうれしかった」と言いますが、それは家でお手伝いで作った料理と何が違うのか、なぜキャンプの時の方が印象に残っているのか聞きます。
キャンプで一緒だった仲間も美味しそうな顔をして一緒にご飯を食べたのがうれしかったようです。
その時の長男の気持ちも色々な切り口から聞き出してメモさせておきます。
短歌なので、5・7・5・7・7の少ない文字数で書く必要があります。
いきなり「飯ごうすいさん」と書こうとしたので、文字が足らなくなります。
また、うれしかった気持ちをそのまま文字にしようとするので、こちらも文字が足らなくなりそうだったので、情景を描写することで気持ちが表現できることを伝えました。
結果、長男の短歌は
「キャンプで ご飯を炊いて みんな笑顔 ぼくも笑顔 また作りたい」
となりました。
ちょうどネットで、似たような感じで、作家の方が12歳の娘さんの作文の宿題のヒントとなる部分をチャットGPTに問いかけさせることで作る記事が載っていました。
あらかじめ親がプロンプトを入れておいて、それによってチャットGPTが励ましながら質問を繰り返し要点をまとめていくスタイルになっています。
記事の中では、チャットGPTを使うことによって、従来の授業の進め方と逆になっていることが指摘されています。
授業では子どもはパソコンやタブレットを使いますが、子どもが検索して答えを探すことに使われており、従来の辞書や辞典と差はありません。
チャットGPTでは、子どもは質問を受ける立場で逆転します。
しかもマンツーマンの対話で、それぞれの子ども独自の回答を引き出し、要約も素晴らしいものが返ってきます。
しかも私がやるとイライラしたり感情的になることがありますが、AIではそんなこともなく、子どもがリラックスして話せると書かれていました。
以前のコラムでも、授業でトレーニングもされていない読書感想文を書くことへの疑問を呈しましたが、どうせなら一人一台配布されているタブレットにチャットGPTを入れて、同じように子どもの意見を上手く引き出させるように使ったらどうかと思います。
子どもも引き出された自分の意見を見て、なるほど!作文とはこうしたものを書いていくのか、と分かるのではないでしょうか。
この手の話ではすぐにAIが作文を書くようになり、子どもの作文能力が育たない、という意見が出てきます。
意見を引き出す訓練をすることは作文能力を高めることでもありますし、最初のやり方のお手本を見せたりする点では、今の時代で最も優秀でしょう。
単に「キャンプの短歌を50首作って」というのとは訳が違う使い方だと思うのですが、いかがでしょう?