滋賀県高島市の饗庭山法泉寺住職の吉武学です。
人生のお悩みや終活のご相談をはじめ遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
話題のビジネス書「キーエンス解剖」を読みました。
当たり前とされていることを「やりきる力」が優れている会社、という紹介をされていて、本の内容から確かにその通りと感じました。
特に読んでいてなるほど、と唸ったのは人事評価についてです。
多くの職場でどういう形であれ人事の評価が行われます。
そこで高評価を受けるのは結局の所、目立つ結果を残した人ではないでしょうか。
いわゆる総務や財務のバックオフィスと言われる内部事務は日々同じような業務内容ばかりで、基本的にミス無く行われることが前提です。
また、業務自体でお金を生んでいるわけではありません。
しかし、こうしたバックオフィスがないと、お金を稼ぐ部門も安心して活動することが出来ません。
キーエンスではどの部門であっても、決められたアクション、例えば一日に電話を何件かける、といった努力すれば出来ることが評価基準とされ業績の一つとして反映されます。
それに加えて業務成績がプラスされて反映されます。
努力すれば出来るアクションの目標をやりきれば、業績としても一定レベルの結果が出ているはず、と考えているわけです。
本の中では、4番バッターはいらない、アベレージヒッターを揃える、という表現をされていました。
特別な成績を出す必要は無い。誰がやっても同じように一定の成果が出せる、ということを重視されている言葉だと思います。
誰もが出来る内容のアクションの目標を定める、ということ自体はどの会社でも行っていることかと思います。
しかし、そのアクションを取ることによって、これだけの結果が概ね出るはず、というところを精緻に詰められている会社がほとんどないと思います。
私の勤務時代の仕事もいわゆるバックオフィス系で、評価の時期になると所属長が「人事から評価を言われているから、とりあえず数値目標を作っておこうか」と話して何となく作っていました。
ただ、その数値目標を達成すると、会社の業績の何に貢献できるのか、私も所属長も定義づけが出来ていませんでした。
NewsPicksで人事に関するコンテンツで、人事業界では有名な安田雅彦さんが「評価でダメなのはサプライズ評価が起きた時」と話されていました。
被評価者も評価者も、1on1で面談をして、互いの合意も取れて、例えばA評価となったとしたら、その上の上司が評価したり人事部が評価してBになったりSになったりすると、本人も周りも納得できなくなる、ということです。
「評価なんてどうせ上が好みで適当にやっている」と思われてしまったら、もう適切な評価は行われません。
評価がなぜ大事なのかと言えば、会社と働く人の信用信頼関係によるものだからです。
適切に行われていれば会社に対して信用が生まれます。
適切でなければ、会社が自分をしっかりと見ていないと感じ、会社を信用しません。
今の日本で果たして信用を置いてもらえる会社がどれだけあるのでしょうか。