死んでからではなく今を生きるために

滋賀県高島市饗庭山法泉寺住職の吉武学です。
人生のお悩み終活のご相談をはじめ遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。

相続を学んでいる関西相続診断士会でお寺と相続について講師としてお話してきました。
タイトルを「和尚のぶっちゃけ終活・相続話 〜仏教・お寺のイロハ〜」として、お寺業界の内側の人間からどう見えているかを、本当に割とぶっちゃけてお話ししてきました。

内容については、宗教、仏教、お寺、お坊さんと徐々に話す対象を絞っていき、後半では終活の現場でのお寺の関わりや見方をお伝えしました。

まだアンケート結果はいただいていないのですが、直後に直接お話ししてくださった方からは面白かった!というお声を沢山いただいたので、日頃見ることのない視点を提示できたのでは、と思います。

講義した時の質問で一番感じたのは、今やお寺との関わりやお寺が求められるシーンが「死んでから」の部分になっていることです。
もちろん日頃からお出会いする方に死んでからのこともお話しするのですが、死んでからのことを見据えて「今を生きる」ことをお話ししたいと思っています。

「お客様のご家族が亡くなられて宗派もお寺も分からない状況ですが、なにかよい手立てはありますか?」と言われても、恐らく葬儀の準備のためにほとんど時間は無いでしょう。
何とか、お客様の本尊や念仏の記憶から宗派を探るところが精一杯で、あとは葬祭業者さんに相談して手配してもらうしか無いと思います。

亡くなってからの儀式等のためにお寺と関わるのでなく、亡くなった後の不安を少しでも和らげ、生きている今を充実させるために、今すぐにお寺やお坊さんと出会っていただきたいのです。

講義の際の質問で「お寺やお坊さんとの出会いは、とりあえず近所に行くとよいのか?」というものがありました。
近所にあったというのも何かの縁だと思います。
檀家さんでなくてもお参りできる行事などもありますから、まずは足を運んでみてください。
そこで法話などがあれば、そのお寺の宗派の教えや、お坊さん自身のことがよく分かるでしょう。
人には相性がありますから、色々なお寺でのお話を聞いて、自分に合ったものを探していただきたいと思います。

私がお坊さんだと分かると振ってこられる話題はお葬式かお墓のことが多いです。
それだけ人々がお寺やお坊さんと関わる機会が限定されているということなのでしょう。
この点については、やはりお寺やお坊さんの側からの発信が足りていない、ということだと思います。
最近、お坊さんとしてお話をさせていただく機会も増えてきたので、「死んでから」ではなく「今を生きる」ための発信をしていきたいと思います。