滋賀県高島市の饗庭山法泉寺住職の吉武学です。
人生のお悩みや終活のご相談をはじめ遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
昨日の誕生日には、SNSを通じて沢山の方からお祝いのメッセージをいただきました。
正直なところ、これまでの人生で過去最高のメッセージ数でした。
その多くはFacebookとTwitterなのですが、昨年、独立開業してから立ち上げたアカウントなので、この一年と少しでお出会いした方からのメッセージということに感動と共に震えています。
43歳、44歳は挑戦の年でした。
市役所勤務という大地はとても安定していましたが、自分の力でどこまで世界に飛び出せるか試したい気持ちがありました。
またここに居続けては自分の知る世界が限られてしまうと考え、向こうが見えていない独立開業という崖に向かって、行政書士や住職という使ってみないと役に立つか分からない翼を持って飛び立ちました。
飛び立った先は本当に大きな空でした。
青空も雷雨も気持ちのいい風も突然の突風も吹きますが、どこに向かって飛ぶかは自分で決めていける、自分の選択による「自由」があるところでした。
同じように飛んでいる仲間と出会ったり、降り立った先での新しい経験があったり、刺激的な毎日です。
新たな世界に出てみて、改めて自分の性格や特性を理解することになりました。
新しいことに次々と挑戦しましたが、自分が決めて、自分にだけ影響があるようなことは、新しいことも、未知なこともプレッシャーはそれほど感じないことが分かりました。
一方で、お客様の依頼を受けて行う仕事で、参考書もほとんど出ていないような未知な部分が大きかったり、オーソドックスなものから大きく外れるものについては、プレッシャーを人一倍感じることも分かりました。
正直、精神的には強くないので、こういうプレッシャーを感じるとあっという間に睡眠の質が下がりますし、朝起きるとすぐに不安で胃液を戻しています。
前者は失敗しても、自分のお金であったり、自分に対する評価に影響するだけですが、後者は予測がつかないところが大きい分、お客様の経営であったり、生活への影響の大きさが自分でも掴めないためです。
ただ一度でも経験すれば、その経験から同じような事案に当たった時に今後の展開が僅かでも見えるようになり、以前よりも落ち着いて対応することが出来ます。
仏教で「精進」という言葉があります。
精進料理の言葉がよく行き渡っているせいか、俗っぽいものを絶つイメージが強いようですが、スポーツ選手が「今後も精進する」と努力の意味合いでの使い方もよくしています。
努力についても、単に努力する、という意味合い以上に、真摯に取り組むとか懸命に取り組むという意味を強く感じる言葉です。
語源をたどると、サンスクリット語の「ヴィーリヤ(勇者、勇敢なこと)」という言葉になります。
ある先生の法話の中では「勇気を持って一歩を踏み出すこと」と話されていました。
従来からの知識や業務をなぞることは決して悪いことではなく、安定した結果を生み出すことができます。
繰り返し行うことで、その業務の正確性やスピードを上げていくこともある意味で努力といえるでしょう。
しかし、自分の知る世界がそれ以上広がりません。
未知の分野、未経験の分野に足を踏み出す、特に参考書も出ていないような未踏の地に踏み出すことは大きな勇気が要ります。
しかし、開拓して踏破すれば新たな世界が広がりますし、見えていなかったこれまでの世界との繋がりにも気づきます。
この一年と少し勇気を持って飛び立ったつもりでしたが、世界は広く、新たな大地を求めてさらに飛んでいく必要を感じました。
今年の私の一年の目標は、仕事に「精進」して、勇気を持って挑戦していくことだと考えています。