守備範囲が広すぎて知識が疎かになっていませんか

滋賀県高島市饗庭山法泉寺住職の吉武学です。
人生のお悩み終活のご相談をはじめ遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。

「法務局に預ける遺言書なら全てパソコンで作れるんですよね?」
「亡くなった方のご家族と音信不通の相続人の戸籍ってどうやったら取れるんでしょう?」
「相続人全員による遺産分割協議なら遺言書とは違う内容の遺産分割ができるって、亡くなった人の意思を無視していておかしくないですか?」

先日、士業による相談会に相談員として出席しました。
上記の質問は、その相談会に来られた方では無く、相談員としておられた士業の方の雑談を拾ったものです。
来られた相談員全員が相続はお仕事として受けていると言っておられました。

一つ目の質問は、あくまで「自筆証書遺言」の保管制度だとご存じなかったようです。
二つ目の質問は、戸籍の読み方やたどり方が分からないと思われます。
質問された方に、日頃の相続業務で戸籍の取得はどうされていますか、と尋ねたら、依頼人に全て揃えてもらう、と言っておられました。
三つ目の質問は、全てのケースではありませんが、遺言書と違う内容の遺産分割を行える場合があります。
質問された方は、遺言は全てに優先するから、違う内容の遺産分割はできない、と主張しておられました。

それぞれの方の日頃の業務は法人相手の税理士であったり、会計士であったり、許認可中心の行政書士の方でした。
相続のお仕事は、あくまでお仕事関係の方からの案件に限るようで、相談会などで来られた初見の方の案件などは引き受けていないようです。
ただ馴染みのお客様であっても、誤っていたりズレている知識で対応すると、お客様に不利益が発生することがあります。

行政書士は対象とできる業務が広いため、多くの方が分野を絞って業務をされます。
私も遺言・相続・終活関係と補助金系の業務が中心で、許認可については一部を除いて、他の先生にお願いしています。
そうしないと不十分な知識で時間がかかってしまったり、後々のトラブルとなるミスを引き起こすかもしれないからです。

士業と呼ばれる職業のほとんどが業務の一つとして相続関係をしていると言われます。
しかし、相続をメインとされていない先生方は、本当に相続関係の法律を理解したり、相続土地国庫帰属制度など最近の動きを把握されているのかな、と感じることが多々あります。
それは、私がメインとしていない許認可関係の最新の動きなどを十分に把握できていないことと同じと言えるかと思います。

他山の石として、私自身がメインとしている業務について、知識に漏れがないように、さらに向上できるように研鑽を積んでいかなければならない、と感じた相談会でした。